(一)この世界ごと愛したい





「姫様、ルイ様。」



御者さんが私達に声を掛けて、目を開く。



「長旅ご苦労様です。街に到着しました。」



寝ていた頭も、座りっぱなしで固まっていた身体も、瞬時に目覚める。



…街に着いた!!!




「るう起きて!着いたって!」


「…んあー。」



るうもぐっすり寝ていたようで。


ゆっくり起き上がろうとするのを待ちきれず、私はひと足先に外へ飛び出す。





「…すごーい!」



すぐに目に入った、大きな時計台。


そして街は夕刻にも関わらず賑わっているように見える。この街も楽しそうだ。



るうを降ろした馬車は、私達の荷物を宿に運んでくれることまでしてくれるそうで。すぐに宿へと進んで行く。もう感謝しかありません。





「るう行こっ!」


「ああ。」



私は早くも街へ向かって駆け出す。


職人さんが多いっていうのは、金属の加工だったり鍛冶屋だったり、そんなお店が多そうな印象。


あちこちで煙が上がっているし、匂いも独特。





「剣持ってくればよかったねー!」


「そんな長居しねえよ。」


「うーん、勿体ない。」



優秀な研師だっているに違いない。



宿へ向かっているという名目で、街を探索しつつ歩いています。




「…ん?」




私はひとつの店舗の前で足を止める。



…装飾加工。



私は、店の前で立ち止まり考える。



るうに渡す宝石。そのまま石の状態で渡すとるう失くしちゃうかもしれないなー。