「姫様、ルイ様。」
御者さんが私達に声を掛けて、目を開く。
「長旅ご苦労様です。街に到着しました。」
寝ていた頭も、座りっぱなしで固まっていた身体も、瞬時に目覚める。
…街に着いた!!!
「るう起きて!着いたって!」
「…んあー。」
るうもぐっすり寝ていたようで。
ゆっくり起き上がろうとするのを待ちきれず、私はひと足先に外へ飛び出す。
「…すごーい!」
すぐに目に入った、大きな時計台。
そして街は夕刻にも関わらず賑わっているように見える。この街も楽しそうだ。
るうを降ろした馬車は、私達の荷物を宿に運んでくれることまでしてくれるそうで。すぐに宿へと進んで行く。もう感謝しかありません。
「るう行こっ!」
「ああ。」
私は早くも街へ向かって駆け出す。
職人さんが多いっていうのは、金属の加工だったり鍛冶屋だったり、そんなお店が多そうな印象。
あちこちで煙が上がっているし、匂いも独特。
「剣持ってくればよかったねー!」
「そんな長居しねえよ。」
「うーん、勿体ない。」
優秀な研師だっているに違いない。
宿へ向かっているという名目で、街を探索しつつ歩いています。
「…ん?」
私はひとつの店舗の前で足を止める。
…装飾加工。
私は、店の前で立ち止まり考える。
るうに渡す宝石。そのまま石の状態で渡すとるう失くしちゃうかもしれないなー。

