別に誰のことも恨んではないけど、やっぱり信じられなくて。この現実を疑ってしまうほど。
私にとってはそれほど異常事態。
「…ハルが言ってたのは、これか。」
「え?」
「なんでもねえ。」
ハルが、何を言ったんだ…?
「あ。そういや、今から行く街はデカい時計台がある。優秀な職人達が多い栄えた街だ。」
「時計台!職人!何それ楽しそう!!!」
「着くのはまだまだだけどな。」
「楽しみだねー!」
そんなことを聞いただけで、踊り出す心。
いつか、この心のまま自由に好きな場所に行ってみたいと思っていたことも。今は叶ってしまう。
私の流れ星は、本当にすごい。
「飛んで行けばすぐ着くのになー。」
「…無理だろ。」
「そうなんだよー。無理なのー。」
体力的なことはたぶん大丈夫だけど、私が今城を離れていることを他国に知られるわけにはいかないからね。
今城を攻めてくださいって言ってるのと同じだし。
「悔しいけど我慢する!」
「そうしろ。」
それからも、馬車は走り続ける。
るうとその間たくさん話したり、仲良くお昼寝したりと、のんびり過ごしていた。

