「なっ…あ。お怪我は…ありませんか。」
「ないよ。」
「…よ、よかったです。」
そこへ慌てた様子でるうが戻ってきた。
そしてここにいる第三王子を見て、るうも驚く。
「姫、お怪我は…?」
「私は大丈夫。」
「ここは随分昔に作られていて、脆い部分もある。その暴馬のような姫からあまり目を離さない方がいいよ。」
あっ、暴馬!?
この男、人が大人しく聞いてれば…!!!
「…ご忠告痛み入ります。」
「うん。」
第三王子は崩れた山の中を何やら物色し、なにかを探している。
「医務室へお供しましょうか?」
「問題ないよ。それより騎士殿は、姫に付いているべきだと思う。」
二人がなにやら険しい顔で気を使い合っている。
るうは見るからに不機嫌そうな顔だ。
どうせ後からまた勝手なことするなって怒られるんだろうな、私は。
本取りたかっただけなのにな。
「…あった。」
第三王子はようやくお目当ての本を見つけたのか、ようやく立ち上がった。

