(一)この世界ごと愛したい




でも何も言えないのは、ママがあまりにも楽しそうで嬉しそうだから。


ここで文句を言うのは野暮だろう。




「うん!リン本当に可愛い!」


「…そうかなー。なんか浮かれてる感すごいけど。」


「浮かれたっていいじゃない。リンもう楽しみなのが顔に出てるわよ?」


「え、嘘!?ほんと!?」




恥ずかしすぎる!そんな顔に出てる!?





「さあ、行ってらっしゃい。忘れ物ない?」


「忘れ物…あ!」



私は例の宝石を慌てて服のポケットにまた忍ばせる。




「これで大丈夫!じゃあ行ってくる!ハルとアルによろしくねー!」


「ええ。楽しんで来てね。」




私は部屋でママと別れ。


城門へと向かう。




まだ朝早いこともあり城内はとても静かで、人もあまりいない。





「…ちゃんと起きたな。」


「るう、足止めされてるって聞いたけど大丈夫だったの?」


「王妃に頼まれ事。もう終わった。」




城門に到着する前にるうとばったり出会したので、一緒に向かうことになった。




「ねえねえ、まずは街を目指すんだよね?大きい街かな?何があるところ?」


「…とりあえず落ち着け。あとその格好であんま話しかけんな。」




話し、かけるな?


今から二人旅に出ようって時に!?





「…何の試練だこれは。」


「……。」




何かの試練を課されているらしいるう。





…これは慰安旅行だ。


るうの機嫌を損ねちゃいけない。



めちゃくちゃな理不尽を言われても耐えろ!私!!!