(一)この世界ごと愛したい





街。


旅行。


避暑地。


温泉。





「っ!」




どうですか、皆さん。


私も本気を出せば一人でも起きれるんですよ。





「旅行だっ!」




私は目覚めた瞬間飛び起きて、まだほんのりしか明るくはない空を見て思わず笑みが溢れる。



るんるんで、足取りは軽く。


朝の支度を高速で終えて、昨日ママにもらった紙袋の中の着替えに袖を通そうと…思った。





「…え。」



ママが用意した服は、普段私が着ることのない可憐なワンピース。


私はその服としばらく睨めっこ。




いや、着てもいいんだけど。似合う気がしない。でも旅行ってこういうものなのか?




「仕方ない。なんか浮かれてるみたいだけど、実際そうだもんな。」



諦めて、私はそのワンピースを着ました。




タイミングを見計らったように、ドアがノックされてママが登場。




「リン可愛い!」


「…ママ、なにもこんな可愛い服じゃなくてもさ。いつもの動きやすいのでいいのにー。」


「早く座って座って!ルイを足止めしてるんだから!」


「え?るうも起きてるの?じゃあ私行かなきゃじゃん。足止めって何?」




もう頭の中は疑問符でいっぱいな私。


けど、無理矢理に座らされて。ママは私の髪の毛を綺麗にお洒落に仕上げ、そして少しだけお化粧を施す。





…気合い入りすぎじゃないか?