(一)この世界ごと愛したい




ついこの前まではレンレンと言っていたママは、次はるうへとシフトしている。


たぶんるうの前で、レンを推したことを本人の中で気に病んでいたんだろうなと。そんなことを思ってしまった私。




「…そんなことする意味ある?」


「あるある!」


「恋人気分になる意味が分かんない。」


「あら、どうして?」




るうの告白を断る形になった私なんだけど。


仮に私が恋愛というものが分かるようになって、特定の誰かを好きになっても、私の根本が変わるとは思えないんだよね。





「私に恋人が出来るとは思えないけど、もし出来たとしても。たぶん私その人よりハルやるうの方が大事だもん。」




ハルやるうより大事な人なんて、早々出会えるわけがないんだ。





「…ねえルイ、これはリンなりのオッケーなんじゃない?」


「違うでしょ。」


「リンにはまだ難しい問題なのね。」


「何でも論理的に考えるタチだし頭は固いし。俺はもう開き直れてるんで大丈夫ですよ。」




すっごく悪口言われてません?


悪口じゃないにしても、褒められてはないよね?





「ルイは大人ね。」


「ま、旅行は楽しんできます。たぶん最初で最後なんで。」




そう言ったるうに。


私は返せる言葉がなくて。ママも黙るから気まずい空気が流れてしまいます。