(一)この世界ごと愛したい





「…あれ、ママ?会食終わったの?」


「ええ。リンのことだから、旅行の準備まだなんじゃないかと思って。」


「これからするところだったんだよー。」


「もう、それだと結局ルイに迷惑かけるでしょう?」




ママはそう言って、私に紙袋を手渡す。




「これ明日のお洋服ね。馬車に荷物ももう積んであるから、ルイは何もしなくて大丈夫よ。」


「…すみません、王妃。」


「いいのいいの!たまには母親らしいことしなきゃね!」




謝るるうに、ママがパチッとウインクする。


ママのテンションが高い。こういう時はなんか怖いんだよなー。




「あ、ママは南の避暑地行ったことある?」


「私がルイに勧めたの。素敵な場所だからリンもきっと喜ぶと思って!」




るうはママに教えてもらったのか!


けど、それなら素敵な場所だというのはどうやら本当のようだ。やっぱり楽しみだー。





「ふふ。ルイ、リンをよろしくね。」


「…はい。」


「リンもあんまりルイに迷惑かけちゃだめよ?」


「わかってるよー。るうの休暇だもんね!私が逆に頑張らなきゃ!」




ママはニコニコと微笑んで。






「そうね、恋人同士の気持ちになって楽しんでいらっしゃい。」




とんでもないことを言う。