「ねえ、避暑地って何があるの?」
髪の毛を拭きあげてもらった私は、るうと二人ベッドに転がりつつ旅行の計画を練る。
「温泉があるらしい。飯も美味いって。」
「ここから何日で着くかな?」
「途中街に一泊して、次の日の夕方には着く。」
「街にも行けるの!?」
旅行って、一石何鳥なの!!!
すごい!!!
「今度こそお金たくさん持って行かなきゃ。」
「俺が出すからいい。」
「旅行のお金だってかかるんだし、私自分の物くらい自分で買うよー?」
私のお金どこにあるか知らないけど。
ママが持ってるのかな?
「リンの物は俺が買う。」
「…るうは変なとここだわり強いよね。」
「うるせえ。」
「この前大量に本買ってもらったばっかりだし、私なりに気を遣ったつもりなんだけど…。」
「もっと違うとこ気遣えよ。」
違うとこ?
他に気遣うとこあったかな?なんだろう?
「どうしたらいい?」
「…あんまり可愛くしないとか。」
「…それが気遣い?」
「俺にとってはな。」
そうか。
可愛くないのが気遣いになるのか!世の中まだまだ私の知らないことは多いな!
…けど、分かった。
「頑張る!」
「…ああ。(どうせ無理だな。)」
「楽しみだねー!」
「そうだな。(何したって可愛い。)」
私はるうに可愛くしないよう注意しつつ、明日の段取りを決めて。
そして次は荷物を準備しようと差し掛かった時、部屋のドアがコンコンと音を鳴らす。
この時点で、ハルではないな。

