(一)この世界ごと愛したい





「…待ってるんじゃなかったのか?」



部屋に戻ると。


既に食事の準備を終えてしまったるうは、時間を持て余して椅子に座って寛いでいた。



私だってそんなに時間はかかってないはずなのに、ここまで終わってることで、るうは相当急いでくれたことが分かる。




「ごめんねー。」


「いいからさっさと食え。明日とんでもなく朝早いぞ。」


「え…。」


「なんだよ?」




とんでもなく早い出発…。


つまり、明日は起きて早々楽しい世界に私は飛び出すことが出来る。





城にいるのは好きだし。


城のみんなも好き。



それでも。


手を伸ばしても、ずっと行けなかった世界。





分かってる。


この国を出た後は、私は嫌になるくらい自由にその世界を味わうことが出来る。





「…るう。」


「あ?起きれねえとか言うつもりか?」


「そうじゃなくて。ちゃんと起きるし、寧ろ寝ないで朝を待とうかとも思ってる。」


「いや寝ろよ。連れてかねえぞ。」




それでも、やっぱり楽しみなものは楽しみで。






「…るうはやっぱり、流れ星だね。」


「はあ?」




私の願いを叶えてくれる。



るうは私を外に連れ出すのが自分の夢だって言ったけど。やっぱりこれはどう考えても、私の夢で。



どこまでも、私の願いを叶えてくれる。





「ありがとう、るう。」


「…別に、俺のためでもあるし。」