(一)この世界ごと愛したい




「…くそ。何でも許せそうな自分が憎い。」


「お土産たくさん買ってくるね!」


「もう離したくない。」


「…うっ…ハル苦しい。」




抱きしめ返すハルの腕の力が強すぎます。




「リン。」


「なに…?というか、ちょ…強すぎる。」


「俺はお前が楽しそうにしてると嬉しい。だからずっとそうやって笑ってろ。」


「…うん?」




なんか、聞き覚えがあるような台詞だ。


そう言えばアキトもそんなこと言ってくれたっけ。やっぱりハルとアキトは似てるなー。




…それにしても苦しい!!!




「わ、分かったから…!ハル、苦しい…!」


「あー。」




ようやく私を離してくれたハル。


そしてトボトボと執務室へ戻っていくのであった。



その寂しそうな背中が、何とも体格に沿わず可愛く思えて私はまた笑ってしまった。





「…じゃあ、とりあえず飯食ってから準備するか。」


「えーご飯もういいよー。」


「ふざけんな。お前今日また何も食ってねえだろ。」


「…あ、ほんとだ。」




そんなことも忘れていた私は、泣く泣く先に食事を摂るため部屋に向かう。


ママとアルは今日は会食で、城の外でご飯を食べてくるらしいので。どうせ一人だし部屋で食べることにしました。





「じゃあ飯運んでくるから今度こそちゃんと待ってろよ?」


「……。」


「…お前普段俺がいようがいまいが気にしねえくせに。こんな時だけそんな顔すんな。」


「そんなことないですー。ちゃんと待ってるよ。でも五分で帰って来てね。」


「待つ気ねえじゃねーか。」