(一)この世界ごと愛したい




るうを見てみるけど、ハルがそんなこと言うからなんか怒ってますが。




「…誰が邪だ。」


「実際そうじゃねえか。」


「……。」


「どうすんだ。止めたいのに今止めたら俺は絶対リンに嫌われる。」




なんだか二人で会話していて、私は混ぜてもらえません。


そんなことより私は早く、避暑地のことも聞きたいし準備だって整えたい。





「るう今日は私の部屋で寝ようね。」


「はあっ!?」




るうは思わずよろけて、ハルは大声を出す。




「だって仕方ないじゃん。今日こんなに時間取られると思ってなかったし。出発明日なのにまだ何にも準備してないよー?」


「一緒に寝るのは断じてダメだ。」


「旅行いくのにそれ意味ある?」


「旅行中だって部屋は別だ。夜は別々に過ごす。これが絶対条件だ。」




そんな条件初めて聞いた。


るうも初耳だったようで、何か言いたげにハルを見ているけど。ハルは聞く耳を持たない。





「分かったな。俺は戻る。」


「え、るうは?」


「お前が代わりに仕事終わらせたろ。ルイの仕事はもう今日は何もねえよ。」




おお、ハルが成長してる!!!


いつもならここで、まだ自分も行くと駄々を捏ねそうな場面で。変な条件は課されたものの、ハルが大人になった!!!




これはね、すごいことなんですよ。






「ハルっ!」


「……。」




「ありがとーっ!」




私は心からのありがとうを伝えて、ハルを思いっきり抱きしめた。



こういう時はちゃんと褒めねば!!!