恋とは、非永続的な感情らしい。
どうせ続かないと分かっているのに、そんなことに時間を割くのは私は少々勿体ない気がします。
「…リンがレン王子のことを大事に思ってるんじゃないかなって思ったのは、彼があまりにもリンのことを大切に思ってたからなの。」
「あー婚儀の日に二人で話してたもんね。レンはお人好しだから私に限らず大切に思ってそうだけど。」
別にレンの私への気持ちを疑ってるわけじゃなくて。
私からすれば、それこそ本当に一時の気の迷いの可能性があると思っているだけで。
…その分るうは付き合いが長いだけに、少し厄介なんだけど。
「私がね、リンのことをよろしくって伝えたらレン王子なんて答えたと思う?」
「うーん。」
レンのことだから無難に分かりましたーとか、こちらこそよろしくーとか。
当たり障りのないこと言って流しそう。
「“俺には荷が重いです。”って言われたの。」
おっと。
そのパターンでしたか。
「それ私への苦情だよね。」
「頼まれて簡単に受諾出来ないくらいリンが自分にとって大事な存在だから、荷が重いんですって。」
レンらしい…ような気もする。
私の頭に、ふと紺碧の瞳が思い出される。
「そんなこと聞いたら私も思わず応援したくなっちゃって。でもルイのこともあるし、下手に加担できないから帰って来てから聞こうと思ってたの!」
「土産話が何もなくて残念だったねー。」
「…確かに良い話はまだ聞けてないけど、リンは少しずつ心が傾き始めてる気がするの。」
「えーそうかなー?」
私が自分で感知出来ていないことを、どうしてママが分かるんだろう。

