私はアルと仲良く稽古を始める。
「アル、もう少し腕曲げてみて?」
「こう?」
「うん、いい感じー。」
私の剣の師はパパなので、それをまたアルに受け継ぐのがなんとも感慨深いです。
まあ、剣だけの話で言えば私はまだまだ未熟なんですけどね。
「重心落としてねー。」
「はい!」
「アルは素直でいい子だね。私とは大違い。」
「え?お姉ちゃんはいい子じゃなかったの?」
私の剣の稽古なんて、それはもうパパの雷のような怒号が城中に響き渡るほど怒られていた。
「私は型が決まってる方がやりにくくて、言うこと聞かないからパパにいつも怒られてたの。」
「でもお姉ちゃんすごく強いよ?」
「抗いたくてたくさん練習したからかなー。でも基礎はともかく、それ以外のことは私を参考にしちゃだめだよー?」
「どうして?」
単純に男の人には不向きな戦い方だろうし、身軽じゃないとまず出来ないし。
それに私の剣は、敵の目を惹くことに長けてるから絶対真似しちゃいけない。
「…私の剣は、やっぱり諸刃の剣だからね。」
「そうなの?」
「だからアルはまず、頑張って体力つけて、たくさん素振りして、土台を作り上げてから自分に合った型を見つけるといいよ。」
「うん!わかった!」
和やかに稽古している風景を、やっぱりまた執務室からハルとるうが眺めていて。
ママも遠巻きに見ていることにも気付いてた。
「ハルに負けないくらい強くなるんだよ?」
「僕はお兄ちゃんより強くなりたい!」
純粋無垢な、笑顔と言葉が私を嬉しくさせる。
私はアルとまだしばらく稽古を続けたものの、夕刻には切り上げ二人で城内へ戻った。

