午前中だけという約束だったので、私はキリのいいところで訓練終了を伝える。
「姫様、ありがとうございました。」
「こちらこそー。最後に稽古した時より、みんな随分力を付けたね。」
「もう二度と侵略されることがないよう、日々鍛錬を詰んでおります!これからも精進しますので、姫様もまた是非よろしくお願いします!」
「…そうだね。」
私は一度城内に戻り、そろそろお昼ごはんの時間だろうと広間へ向かう。
今日のランチも全員勢揃い。
「随分と兵を痛めつけたみてえだなあ。」
「痛めつけたって言い方悪いなー。」
「医務室がごった返してる。後でジジイに文句言われても知らねえからな。」
「えーハルがなんとかしてよー。」
私の訓練が気に入らなかったのか、ハルが文句を言ってくるけれど。
私は構わず食事に目を向ける。
「動いたらお腹すいたー。」
「たくさん食べてね。お昼からはアルとお稽古だものね。二人とも怪我には気を付けて?」
私がアルに怪我を負わせるなんてあり得ないけどと、苦笑いする。
「…お前左腕は大丈夫か?」
食事の途中、二刀流で稽古していた私の左腕をるうが心配してくれる。
「私の優秀な主治医の先生の薬は良く効くんですよー。」
「ああ、レンが調薬したってジジイが言ってたな。」
それにしても、今日は朝からハルの機嫌がすこぶる悪いな。
私とるうが話してるのをギロリと睨む。
「……。」
「……。」
私とるうはとりあえず黙ることにする。
機嫌が悪いのは、旅行に行けないからとママは言っていたけど。
たぶん、それだけじゃなくて。
仕事の方が大変なんだろうなと気付いた。
私の予想でも、そろそろ世界が動き出す頃。
…戦が、始まろうとしている。
「…ご馳走様!アル行こうー!」
「うん!」
私はアルと稽古場へ駆け出す。
ハル。
心配なんて何もしなくていいよ。
私が呼び寄せた敵なら、私が全部迎え撃ってあげるから。

