(一)この世界ごと愛したい




そんなことを考えながら、私は瞳の色の戻すために試行錯誤しています。


鏡の前で、戻そうとしても戻らない瞳を見て肩を落とす私。



やっぱ泣くしかない!!!



変な意気込みで泣こうと思ったけども、悲しくもないのにどうやって泣くんだと泣きの演技に悪戦苦闘。


今までは大体怒ってる時だから、割と感情昂ってるしそのまま泣けるんだけども。






「…レンがいればなー。」




神事の日。


私の瞳を一瞬で戻した奇妙な力を持ったレンがいれば、すぐに元に戻せるのかなと思った。




結局どうにかこうにか凄く悲しい物語の本を読みながら、涙を引き出し鎮火しました。





「やっと戻ったー。」



「…やけに時間かかったな。」




私が安堵しているところに、るうが戻ってきた。





「るう、ハル大丈夫?」


「…ああ、今は何とかな。」




テキパキと朝ごはんの後片付けを済ませるるうは、私の声にも耳を傾けながら手を動かす。




「旅行いつ行くのー?」


「行き先もまだ決めてなかったな。」


「今夜空いてるー?」




ガシャンと、食器がぶつかる音がする。


割れてはいないようだけど、るうにしては珍しいミスというかそんなに動揺することか?




「変な誘い方すんな。」


「ちょっと相談しようー。ハルは撒いてきてねー。」


「…また難しい注文だな。」


「じゃあここで待ってるからねー。」




るうは分かったと言って、早々にハルの元へ戻って行った。




私はシャワーを浴びて、動きやすい服に着替える。


本当は本を読むつもりだったけど、大号泣した後なので若干頭が痛いので予定変更。




帯剣し、稽古場へ向かう。