(一)この世界ごと愛したい




結局起きてから何も口にしていない私に、るうが気を利かせてアップルパイを添えてくれていたので。


見たら食べたくなった私は美味しくいただき、コーヒーもしっかり飲み干す。




「ご馳走様ー。」


「後で片付けにくるから置いとけ。絶対に触るな。」


「…これくらい私も出来るよ。」


「俺の仕事を増やすな。」




るうに酷いことを言われながらも、大人しく頷いた私を見て。


ハルとるうは執務室へ向かって行った。





「…ハル、やっぱり元気なかったな。」




そんなに旅行に行きたかったのか。


そう考えると、私だけ楽しむのもいかがなものかと思わんでもなくて。




でもせっかくるうが誘ってくれたし、修行にも付き合ってもらったし、るうの夢らしいし。




「ごめんよ、ハル。」




私は行くことにするよ。


その代わりに、今度ハルを空中散歩に連れて行こう。