ハルとるうが私の身を案じて。
気持ちスピードを落として慎重に走るシロに合わせて走る。
そして国境を越えて、アレンデール国内に入って一番近い街に立ち寄った。
私は怠い身体で意識はまだ保っている。
だって久々の“街”という世界に、胸が躍る。
「宿探してくる。」
そう言って、馬を預けて一人先に街へ入っていったるう。
…私も連れてってほしかったー。
「…二年、か。」
「んー?」
「街並みも変わってやがる。」
「ハルは来たことある街だったんだー。」
私は初めてなのでわくわくしてます。
「俺にとっては、セザールとのあの戦がつい最近のことだ。」
「…そうだね。」
「アルの成長に一番驚いたが。随分変わった城にも、街並みにも、まだ追いつけそうもねえな。」
「ゆっくりでいいんじゃない?」
二年の空白の時間が、あのハルを不安にさせているようで。
焦らずのんびり慣れればいいと私は思う。
「…まだ信じられねえよ。」
「うん?」
私を見ながら、信じられないと言ったハル。
「リン、お前どんだけ辛かったんだ。」
ハルは悔しそうにそう言った。
私の気持ちを誰よりも分かってくれるハルがいてくれて、本当によかった。
私はまた、運河の如く輝く星を見上げる。
「…またハルとこうして過ごせますようにって、何度も何度も星に願ったの。」
「リン…。」
「ちゃんと、叶って…嬉しい。」
ようやく肩の荷が降りた。
そんな表現が一番正しい気がする。
…私の目から、涙が溢れる。
頑張ったよ。
苦しかったよ。
辛かったよ。
全てはこの日までと思って、全てを賭けて戦ってきたよ。
「もう…いいかな…?」
「…っ。」
「ほんとはもう、ずっと消えてなくなりたかったの…。」

