(一)この世界ごと愛したい






私はハルにそう言われることで、いつも力をもらっていた。


いつも私の戦い方を舞のようだと嬉しそうに笑ってくれていたハルが、大好きだったから。




認めてもらえたみたいで嬉しくて。


どんな檄よりも私の士気を高めてくれる。






…ありがとう、ハル。










「御意。」




私は国王軍を再びこの目に捉える。




「人数が増えたとてたかが三人。数的不利に変わりはないぞ。」


「うん、そうだね。」




再び国王軍指揮官と相見える。


確かに数ではとても敵わない。だけど今の私にはそれはもうなんの障害にもならない。





手に握った剣に、内に秘める炎を流し込むように力を込める。


瞬時に私の剣が炎を纏う。






「数的不利も、もう私には関係ないよ。」



「っ!?」






「…圧倒的力の差を、見せてあげるね。」






その剣を一振りすると、辺り一面は炎に包まれる。





私は一人、まるで炎の龍と舞い踊るように八千の国王軍を業火の炎で包み込む。



国王軍からすれば、地獄絵図だろう。




だけどこの光景さえもただ美しいと、思わず見惚れてしまうのは敵味方問わずそれぞれに等しく芽吹く感情だった。






ものの数分。



この場を燃やし尽くした私は、業火によって発生した上昇気流を利用し舞い上がる。







「ばっ…化け物…!」


「神だ仏だ言われるよりその方がずっとマシだね。」




スーザンの前にふわりと降り立った私。



新たな王を守るべく、近くにいる王族たちも人間離れした力を持つ私に恐れて近づけず。


もう立っていられないほどの人もちらほらいる。





「…私の勝ちだね?」


「ひっ…。」


「約束はちゃーんと守ること。わかった?」




言葉も失い、コクコクと震えながら頷くことしかできない様子のスーザン。






「もし約束破ったら、私この国を地図上から消しちゃうからね?」




さらなる脅しをかけると、青ざめていくスーザンと周りの文官と王族たち。


…これだけ言ったら大丈夫かな。




そう思った私は、ハルの元に戻ろうと踵を返そうとした。






でも、そんな私の腕を掴んで止めた。











「…レン。」




心配そうな顔で、私を見つめるレン。





「怪我は…ない?」


「ないよ。約束したもんね。」


「…リンはいつも俺を驚かせるね。」


「ごめんね?」