(一)この世界ごと愛したい




二つ目のお願いが意外だったんだろう。


周囲も思わず口をぽかんと開けるほど驚いている。





「城を…明け渡せと?」


「あー、中は別にそのままでもいいよ。私が居座るわけじゃないから。」


「は?」





「その城、レンにあげて?」




もう意味が分からないと言わんばかりに、恐怖しつつも不思議そうな顔のスーザン。




「…こんな王宮に残していくと遠慮もするだろうし。レンは自由に患者さんと向き合えないだろうから。いっそ、別の場所に移してあげようと思って。」


「しかし…。」


「元々レンが大将で勝ち取った城でしょ?」


「あの城は奪い返されるわけにはいかない、セザールの重要な拠点で…。」




死地に立たされているにも関わらず、意外と冷静に国のことを考えているスーザンに少し驚いた。


まあ、あの場所は確かに重要だろうね。





「じゃあレンごと頑張って守ったら?」


「…分かった。城はレンに委譲する。」




その返事を聞いて。


私はありがとうとスーザンにお礼を伝える。






「…自分の命乞いはしないのか?」


「あれ?心配してくれるの?」


「違う!この交渉は姫が生きてここから逃れなければ成立しない!生きてこの国を出られると…本気で考えているのか!?」




スーザンの的を得た発言に。


周りも賛同して、私への敵意を沸々と湧き上がらせる。