慌てふためく王族達は息を呑み。
まさかと言わんばかりにレンに目を向ける。
「レン王子、医術制限の禁を破ったのですか!?」
「王子とは言えただでは済まされませんぞ!?」
私はエリクと剣を交えつつ。
他の王族から責められるレンに、少し胸を痛める。
「これでレンは罪人だ。」
「やな性格してるね、ほんと。」
「姫の唯一の欠点はその温情だ。今剣を引き、私に平伏すならレンを救ってやらんでもない。」
どこまでも救いようのない人だ。
私が考えなしに、こんなことをしていると本気で思っているんだろうか。
「私を侮ると痛い目見るって、あの戦で学ばなかった?」
「っ…。」
私はエリクに一太刀打込む。
「…痛い?」
体幹に、腕に、足に。
死なない程度に私はエリクを斬りつける。
「くっ…!」
「エリク様っ!!!」
国王軍はもう目前。
エリクは既に虫の息。
「その痛みを、死んでも忘れないで。」
「やっ…やめろっ…!!!」
私は、エリクの心臓目掛けて剣を突き立てる。
再び雨のような血飛沫が舞う。
私に降り注ぐその血の雨は、私の心を非情にさせる。
だって、二人も殺したのに。
私は痛くも痒くもないどころか、ようやくパパとハルの痛みに報いることが出来たと。
五千人の兵の無念を晴らすことが出来たと。
常軌を逸した達成感さえ感じている。

