(一)この世界ごと愛したい




慌てふためく王族達は息を呑み。


まさかと言わんばかりにレンに目を向ける。




「レン王子、医術制限の禁を破ったのですか!?」


「王子とは言えただでは済まされませんぞ!?」




私はエリクと剣を交えつつ。


他の王族から責められるレンに、少し胸を痛める。





「これでレンは罪人だ。」


「やな性格してるね、ほんと。」


「姫の唯一の欠点はその温情だ。今剣を引き、私に平伏すならレンを救ってやらんでもない。」




どこまでも救いようのない人だ。


私が考えなしに、こんなことをしていると本気で思っているんだろうか。





「私を侮ると痛い目見るって、あの戦で学ばなかった?」


「っ…。」



私はエリクに一太刀打込む。





「…痛い?」




体幹に、腕に、足に。


死なない程度に私はエリクを斬りつける。





「くっ…!」


「エリク様っ!!!」




国王軍はもう目前。


エリクは既に虫の息。








「その痛みを、死んでも忘れないで。」


「やっ…やめろっ…!!!」




私は、エリクの心臓目掛けて剣を突き立てる。




再び雨のような血飛沫が舞う。


私に降り注ぐその血の雨は、私の心を非情にさせる。






だって、二人も殺したのに。



私は痛くも痒くもないどころか、ようやくパパとハルの痛みに報いることが出来たと。


五千人の兵の無念を晴らすことが出来たと。




常軌を逸した達成感さえ感じている。