周囲は騒然。
あまりの出来事に、誰もが目を疑う。
王が準備したという私の純白の神の衣装には、そんな王の血の色に染まる。
「…む…謀反だ…。」
誰が言ったのかは分からない。
ただその声で国王軍が、私へ改めて敵意を示して一斉に動き出す。
「…どこに行くの?」
向かい来る国王軍の剣が、私に届く前に。
この場から去ろうと静かに動きを見せたエリクに声をかける。
「……。」
「許してもらえるって思った?」
「…姫。」
「私は何回も後悔したよ。体力の限界だったとしても、例え大切な人を犠牲にしたとしても。どうしてあの時剣を振らなかったんだろうって。」
そうすれば、救えた命があったのに。
「…今の君は恐ろしい程美しい。」
「国王軍がここへ登り着くのが先か、私があなたを討つのが先か。」
「…姫はもう、手に入らないのか。」
「最後はせめて武将らしく、どうぞ剣を抜いてください。死に花は私が添えてあげる。」
エリクは、何かを諦めたように剣を取る。
「手に入らぬのなら…もういい。」
「残念だったね。」
エリクが手に持った剣を、私に振り上げる。
その剣には、しっかりと殺意が込められていて。どうやら本気で私のことを諦めてくれたらしいと悟る。
「ハルのことだって、私は許してないよ。」
「ふっ…。今更そんなことは小事。どうせそろそろ目覚める頃だろう。」
エリクがそう言ったことで、王族達が騒めく。
「き、鬼人が目覚める…!?」
「馬鹿な!あの毒を解毒出来る術はこの国にしかないのだぞ!?」

