(一)この世界ごと愛したい




周囲は騒然。



あまりの出来事に、誰もが目を疑う。





王が準備したという私の純白の神の衣装には、そんな王の血の色に染まる。







「…む…謀反だ…。」



誰が言ったのかは分からない。



ただその声で国王軍が、私へ改めて敵意を示して一斉に動き出す。








「…どこに行くの?」



向かい来る国王軍の剣が、私に届く前に。



この場から去ろうと静かに動きを見せたエリクに声をかける。






「……。」


「許してもらえるって思った?」


「…姫。」


「私は何回も後悔したよ。体力の限界だったとしても、例え大切な人を犠牲にしたとしても。どうしてあの時剣を振らなかったんだろうって。」




そうすれば、救えた命があったのに。






「…今の君は恐ろしい程美しい。」


「国王軍がここへ登り着くのが先か、私があなたを討つのが先か。」


「…姫はもう、手に入らないのか。」


「最後はせめて武将らしく、どうぞ剣を抜いてください。死に花は私が添えてあげる。」




エリクは、何かを諦めたように剣を取る。





「手に入らぬのなら…もういい。」


「残念だったね。」




エリクが手に持った剣を、私に振り上げる。


その剣には、しっかりと殺意が込められていて。どうやら本気で私のことを諦めてくれたらしいと悟る。





「ハルのことだって、私は許してないよ。」


「ふっ…。今更そんなことは小事。どうせそろそろ目覚める頃だろう。」




エリクがそう言ったことで、王族達が騒めく。




「き、鬼人が目覚める…!?」


「馬鹿な!あの毒を解毒出来る術はこの国にしかないのだぞ!?」