(一)この世界ごと愛したい





それにしても、結婚を拒否したからって牢に入れる父親っていかがなものだろう。


なんだか不憫に思えてきた。



それに武人っぽくはなかったけど、文官って感じもしなかった。




あの人は一体何者なんだろう。





そんなことを考えていると、施錠したドアが開きるうが戻ってきた。




「おかえりー。」


「あー疲れた。この建物無駄に広く感じる。」


「大丈夫だった?」


「当たり前だろ。心配されるようなことは何もしてねえよ。」




るうがたくさんの料理を持って帰ってきたので、まずは食事しつつ収穫を聞くことにした。




「早速稽古場の場所は聞いてきた。それと、明日は特にお前の予定はないらしいから自由に過ごせってさ。」


「えー嬉しいー。」


「あと第三王子、また結局陛下と揉めたけど地下牢行きはどうにか免れたらしい。」


「ふーん。」




そっか。


いつから入ってたか知らないけど、やっと出られたのにすぐ戻されるのは可哀想だもんね。