「これでもまだ、なにか?」 牧はしばらく目をぱちくりとさせていたが、 やがて頬を染めつつも真剣に 睨みあげてくる三白眼を 愛おしそうに見下ろして言った。 「いいえ、大変幸せでございます」 「…よろしい」 「アハッ」 京子が冷静に行先ボタンを押すのを見て、 牧はくしゃっと笑った。 「きょんちゃん、 エレベーターにもカメラあるのに 随分大胆ですこと」 「…うるさいですよ」 「知ってた?ねぇねぇ」 「そういうことは する前に、言ってください」 「あ、動揺してるぅ~」 「してません!」