静まり返る車内の中、彼女も雅人が欲しくなったんじゃないかと勝手に疑心暗鬼に陥った。 もう彼女にだったら「"じゃあ"」と言われてもいいかとも思った。それでも俺が良いと言ってくれるならそれでいいかもしれない。 雅人が無理だと分かったら俺にきてくれる。 そんな捻じ曲がった情けない心のままに、彼女に「樋口組若頭は婚約者がいる」と教えた。 実際、雅人には婚約者がいて政略結婚だけれどそれなりに大事にしているようだった。街では結構な噂になっていたはずだけど、彼女は知らないみたいだったから。