極稀に、気分が乗ったらそのまま欲まみれの提案に乗ることもあるけど。
こんな不快な展開になるのであればさっさと帰れば良かったと後悔しだしても仕方がない。
幾ら仕事上大切な契約先だからといって、そんなのなくなってもこっちは痛くも痒くもないし。
「いい?次、その汚い口からそんな馬鹿げた発言したら分かるよね?」
「っひぃい!は、す、す、すぃませんでしたぁあ!」
小首を傾げながら問えば、おっさんは、膝から崩れ落ち地面に額をぐりぐり擦り付けて土下座してきた。
結構、優しく教えてあげたつもりなんだけど。
眠さと疲労のピークに、この場をさっさと収めたけれど、もし違うタイミングだったら、きっとこのおっさんの脳天をぶち抜いていたかもしれない。
今はこんな奴の制裁を考えるのも面倒だ。
薄らハゲ頭がさっきよりもはっきりと見えている光景を横目に、足早にその場を後にした。



