「よろしくお願いします…」 「いーえ。じゃあ、行こっか」 そう言って静かに車を発車させた彼はやっぱり余裕そうで、運転している真剣な横顔は大人の色気が増している気がする。 そんな彼に、心臓の音がばれないようにするのに必死で、気を紛らわせようとひたすら窓の方を向いて外の景色に集中した。 意外にも彼も何も言葉を発しなくて、車内はしんと静まり返っていた。