いつの間に背後にいたんだろう。 それくらい静かに佇んでいる男性は、切れ長の瞳を真っ直ぐに、私の隣に座る彼に向けていた。 「…若」 彼はそうぽつりと呟くと、私の手を掴んでゆるりと立ち上がった。 「んー、秘密。ちょっと出掛けてきますねー」 突然現れた男性に間延びした口調でそう伝えると、彼は優しく私の手を引き歩き出した。 あの方には挨拶しなくて良かったのかな… 遠ざかる端整な顔立ちの男性を気にしつつも、二人っきりでいた時とは雰囲気が少し変わった気がする早歩きの彼に黙ってついていった。