連れられるがままキョロキョロとしていると、彼がぴたっと足を止める。
「ここ、座って?」
そう、また甘い声で私は縁側に座るように促された。
心地よいトーンの、その声で囁かれると気づけば従ってしまっている自分がいて不思議な感覚だった。
黙って腰を下ろすと、彼も静かに隣に腰掛けた。
座ったのはいいけど…どうしよう。
そう思いながら未だに暗い視界の中、下を向くとずっと片手で抱きかかえていたアガパンサスの鉢植えの存在を思い出した。
…そうだ、私はこの為に来たんだ。
先程の怒涛のやり取りで、すっかり本来の仕事を忘れるところだった。



