「じゃあ、必要な物はこれで大丈夫かな?」
「はい…でも、自分で行けますよ?」
「レイちゃんは俺とゆっくりしてればいーの。ちょっと待ってて?電話してくるね」
眉尻を下げた私の頭を優しく撫でて、携帯片手に彼はリビングから出て行ってしまった。
冷蔵庫の中にミネラルウォーターとお酒ぐらいしか入ってなかったのを見て、食材を買いに行こうと思ったのに。
必要なものを聞いてきた彼は、綺麗な字でメモを取ると誰かに買い出しを頼むようだった。
…申し訳ないな。誰に頼むんだろう。
そう気になって、リビングから廊下に続くドアまで近づいてそっと聞き耳をたてると、
「エプロンもよろしくね?…んー真っ白、ふりふり」
「……。」
……真っ白、ふりふり…エプロン?
淡々とそう言い放つ彼の声が聞こえてきて、
なんだか恥ずかしい展開になりそうな気がして、
勝手に頬に熱が集まるのを冷まそうと、そよそよと風が吹き込む窓に逃げるように近づいた。



