「ルカ様、お疲れ様でした。後はこの書類に雅人様のサインをいただければ契約完了でございます」
「了解。あとは適当に目通しておくから、もういい?」
薄らハゲのおっさんから書類を受け取り、さっさと部屋から出ようとした。
「お待ち下さい、ルカ様。今夜のお相手はお決まりですか?」
そう言ってニヤニヤと笑みを浮かべたおっさんは、俺に擦り寄るようにご機嫌取りをしてきた。
「………ちょっと、近いかな」
近い。距離が近すぎる。
一気に物凄い鳥肌が立ち、気持ち悪さと不快感で頬が引き攣りながらもやんわりと距離をとった。
誰が好き好んでこんなおっさんの上目遣いで媚び売ってる姿を見るんだろう。



