それから彼女は2、3週間に1回、夜になるとふわっとやってきていつも同じところに座ってぼんやりと過ごしていたよ。
彼女にいくら話しかけても反応はしてくれるものの、声は聞けなかった。
名前すら聞けていない彼女の隣にただ一緒に座って静かな時を過ごすしかなかった。
やっと初めて声を聞けたのは、彼女と出会って数ヶ月経ってからだったかな。
本当にあの日は吃驚したよ。
今でも思い出すと胸が痛くなる。
「やぁ、もうすぐ春がやってくるね。今日はね、君にプレゼントがあるんだ」
なるべく優しくゆっくりと話しかけて小さな可愛い手のひらに袋をのせた。
ヘーゼル色の瞳がゆらゆら揺れているのが分かって初めて興味を示してくれたと、凄く嬉しかった。
「私は花を育てるのが趣味でね?その中にはお花の球根が入ってるんだ。サンダーソニアっていって、"祈り"っていう意味があるんだよ?」



