その女をすぐに視界から外して、携帯を耳に押し付けた。
『お疲れ様です!』
「彼女がそっち行ったら教えて。」
そう短く伝えて電話を切ると、さすがは我が主人、タイミング良く来てくれる。
「千田の運転で行け。俺の方は問題ない。」
「護衛、増やしときます。…あ、明日は有休で。」
そう態とらしく満面の笑みを浮かべて言うと、返事を待たずに踵を返した。
「阿保が。」
楽しそうな若頭の声を背に、携帯を忙しなく動かしながら愛する人の世界へ浸りに向かう。
病院の入口の前には既に千田が待機していた。
「あ、ルカさん!さっきレイさんらしき方がタクシーに乗ってました。花屋の方向へ」
「急いで向かって」
千田の言葉に静かに伝えると、車に乗り込んだ。



