後ろ向きの彼女と違ってその女の顔は割とよく見えた。
40代くらいだろうか。
青白く痩せこけ、真っ黒の髪の毛は汚くて、美しい彼女とは大違いだった。
そんなことより、
まさかこんな所で会えるなんて思っていなかったけど、熱望していた彼女がすぐそこにいるんだ。
こんなに嬉しいことはない。
すぐに彼女の元へと向かおうと、窓から視線を外そうとした、その時。
彼女が女に花束を渡してゆっくりと立ち上がるとこちらに振り返った。
「っ…、」
息が詰まって、心臓が抉られた。
初めて見るその表情は、
無機質で、酷く冷淡で、
でも、恐ろしいほど美しかった。
不謹慎にも、闇に染まったヘーゼル色の瞳も美しいと思ってしまった。
こんな時でも惚けるなんて、ほんと自分は狂ってる。
神秘的な彼女に俺はとっくに頭がイカれていた。



