彼女が零してくれた想いは、もう言葉にできないほど嬉しくて嬉しくて。
夢じゃないんだと信じたくて、ひたすら甘美な唇を貪った。
俺の胸に凭れかかってくれたときは、あーここまで生きてきて良かった、なんて馬鹿なことを思いながら無性に泣きたくなった。
そして、やっと彼女から抱きしめ返してくれた時、心が震え至高の幸せを感じた。
やっと、やっと彼女の世界に入れてもらえた。
なんて、その時は浮かれてそう思っていたけれど、やっぱりまだ入れてもらえてないのかもしれない。
まだ、自宅すらも教えてくれない彼女。
なにかと理由をつけて花屋の前で消えて行ってしまう。
知ろうと思えば知ることは簡単にできる。
でも、そんなんじゃ意味がない。
ちゃんと彼女自身に近づくためには、誕生日のようにこっそり調べるなんてことをしても意味がない。
想いが通じ合えたと思ったのに、まだまだ彼女に少しも近づけてなくて、全然遠くにいるような気がして。
どうしたら本当の彼女の世界に入れてもらえるのか、思いに沈みながら静かな夜が過ぎていった。



