ロバートさんは何か気掛かりなことでもあるのか、私の顔をじっと見つめると顎鬚をモシャモシャとしながら物思いに耽る。
そして意を固くしたように、私にお願いをしてきた。
「…いいかい、レイちゃん?そのお客様が来店したら、ずっと店裏にいてほしいんだ。お願いできるかい?」
申し訳なさそうに、でも優しく私にそう言い聞かせる。
普段から何かとお願いをしてくることはあっても、今回のようになんとも言いづらそうにしてくることはなかった。
そんな申し訳なさそうにされるほど、大したお願い事ではないと思うけれど…
ロバートさんの珍しい様子に、余程今日の打ち合わせは重要なものなのだと悟り、真っ直ぐと見つめ返しながらコクリと頷いた。
ロバートさんは表情を緩めながら大きな手でふんわりと頭を撫でてくれた。



