雰囲気は一変して、眉を寄せかなり不機嫌そう。
「…無理。」
さっきまであんなに甘い声を出していたのに。
低く冷淡に言い放つ彼が心配になってじっと見つめていれば、耳を澄まさなくても聞き覚えのある大きな声が聞こえてくる。
「(……愛子さん?)」
あの高い声とマシンガンのような喋り方は絶対彼女だ。
ルカさんに何か用があるのだろうか。
「やだ。無理。もう、俺のものなんだから勝手に喋らないで。邪魔しないで。」
そう不思議に思っていればルカさんは苛々したように早口でそう告げて、電話を切ってしまった。
そうして彼は私の視線に気づくと、ぎゅっと抱き締めてくる。
「…ルカさん、どうかされましたか?」
「お嬢がレイちゃんに代われって。話したいってうるさいから切った。」
その声色は不貞腐れているようで。
むすっとした彼は珍しくて、愛子さんには後で電話しようと思いながらも、なんだか可愛い彼に静かに抱き締められていた。



