愛子さんが言ってた通り、マンションの入り口はさらっと自然に抜けることができた。
入り口付近に姿勢良く佇んでいるコンシェルジュの方は想像していたよりもずっと強面で、樋口組の方々を思い出した。
もしかしたらこのマンションも樋口組の…?
そんな疑問を浮かべながらお辞儀をしたら、顔を紅潮させて話しかけてくれた。
「お、お、お話は聞いています!ルカさんの部屋は最上階っす!こちらへ、どどどうぞ!」
「…ありがとうございます。」
…絶対、樋口組の人だ。
千田さんを連想されるような反応に確信を得ながらも、案内されたエレベーターに静かに乗った。
ルカさん、最上階なんだ。
なんて冷静にそんなことを思いながらも、どんどん上がっていくエレベーターとともに心拍数も急上昇した。



