「…あーもう!その時のルカの反応が見たいけど、雅人さんに止められてるから私は大人しく帰るわ…レイ、あとで絶対報告しなさいよ!!じゃあね!」
愛子さんは踵を返してさっさと行こうとするので慌てて引き止めた。
「愛子さん、本当にありがとうございましたっ…あの、今度お礼を…!」
私のお給料では到底払えない洋服を愛子さんは当たり前のようにプレゼントしてくれた。
それにお金だけじゃなくて、こんなに沢山良くしてくれて何を返せばいいか分からない。
「もう本当律儀ね!そんなの気にしなくていいのよっ!悪いと思ってんならちゃんと自分の気持ち伝えてきなさいよ?私の世話焼きを無駄にしないでちょーだいっ!」
そう言って愛子さんは華やかに笑うと颯爽と車に乗って去ってしまった。
「(……自分の気持ち…ちゃんと伝えたい。)」
愛子さんがいなくなって急に心細くなったけれど、彼女の言葉を胸に、心の中で自分に喝を入れて足を進めた。



