目眩がしそうなほど試着を繰り返して、愛子さんが一番だと褒めてくれた膝丈でノースリーブのAラインワンピース。
白のデイジー柄の総レースのワンピースは涼しげで私も見た瞬間可愛いと思った。
「(でも、愛子さんのほうが似合いそうなのに…)」
あまり履いたことのないピンヒールにふらふらとしている鏡の中の自分を見て、
全部が不釣り合いな気がして俯き気味でいると愛子さんは優しく笑いかけてくれた。
「レイ、本当綺麗よ。アンタがあと足りないのは自信ね。この藤堂愛子が珍しく褒めてあげてるんだから自信持ちなさいよ!!」
そう言ってまたバシンっ!と背中を叩かれた。
「…なんで、こんなに良くしてくれるんですか?」
ずっと思っていたことが、自然と口から零れた。
私の問いかけに愛子さんは頬を染めて、少しだけ目をうるうるとさせて、
「…助けてくれたお礼よ。こんなんじゃ足りないくらいアンタには感謝してる。
…それに私の初めての友達だからねっ」
そう、少し小さな声でまたぶっきら棒に言った。
照れ臭そうにした愛子さんの姿に鼻の奥がツンとして。
私も、初めて友だちができた。
なんて、嬉しくて私も照れ臭くなった。



