「まずは!作戦を発表するわ!!」
愛子さんはもう興奮気味で、その大きな声は店内に響き渡りお店の方もチラチラとこちらを見ている。
明らかに高級そうなブティックの洗練された空気の中、私たちだけが浮いていて恥ずかしくて少し俯いた。
愛子さん、黙っていれば凄く馴染むのに…
そんな彼女は、どこまでもマイペースで自信満々に作戦とやらを発表してくれる。
「今日は雅人さんにお願いして、ルカをもう家に帰したの!!だから、そこにアンタがサプライズで突撃するのよ!」
…そんなお願いを聞いてくれるなんて、お仕事大丈夫なのかな…と余計なことを心配してしまったけれど、それよりも素朴な疑問が浮かんで首を傾げた。
「ルカさんの家…?」
ルカさんの家…お屋敷のことだろうか。
「アンタそんなことも知らなかったの!?ルカは樋口組の屋敷で寝泊まりすることは多いけど、マンションに一人暮らししてるのよ。まったく、何にも知らないのね…」
そうだったんだ…全然知らなかった…
愛子さんの言葉で少し萎縮してしまう。
たしかに私はルカさんのことを何にも知らない。



