ここにいるはずないのに…
急に聞こえてきた声に唖然としながら声がしたほうに視線を向けると、綺麗な黒髪を振り乱しながら鬼の形相で愛子さんが細道を駆けて抜けてきた。
「はぁはぁ…っっレイ!アンタ私との約束覚えてるわよね!?ねえ!?」
「……いひゃいっ…」
どれだけ急いできたのだろうか、呼吸を乱しながらあっという間に目の前にきた愛子さんは両頬を思いっきり抓って横に伸ばしてきた。
痛いし怖いし、何がなんだか分からない。
「おやおや!愛子さん!レイちゃんのほっぺが取れそうだよ!!離してあげておくれ?」
ロバートさんがギョッとしながら助けてくれた。
良かった、本当にとれるかと思った…
「あら、失礼。でも、ロバートさん!酷いのよ!レイったら私との約束忘れてるのよ!せっかく朝からお洒落して準備万端だったのに、アンタ全然電話に出ないじゃない!その小さい頭はやっぱり空っぽなの!?」



