すぐ後ろまできた馬鹿な声に苛々が募る中、日傘の柄をぶかぶかの軍手をはめている可愛い手に握らせた。
「…っ」
「また、電話するね」
多分、明日帰ってしまう彼女には会えなそうだ。
そう思うと本当憂鬱だけど、暫く休んでいたから仕方がない。またすぐ会えるように死に物狂いで働いてやる。
戸惑いながら言葉を詰まらせている彼女に囁くと、ゆっくり立ち上がって振り返った。
「うおっ!ルカさん!そんな所にいたんすか!!もう捜しましたよ〜!明日の会合のことで聞きたいことが!」
「はいはい。一旦、そのツルツル頭黒く塗り潰そうかな」
「ぇええ!ちょ、ルカさんが言うと本気に聞こえるんでやめてくださいよ〜!」
「本気だけど?ほら、行くよ」
頭を抱えながらオロオロしている千田を横目に足をゆっくり動かした。
振り返ったら絶対抱き締めて離れられなくなる。
そしたらまた彼女を困らせてしまう。
なんて思いながらもやっぱり振り返っちゃって、
傘の中から見上げた綺麗な瞳に吸い込まれそうになりながらも、
「レイちゃん、またね。」
……早く俺のものになってよ。
なんて思いながら、グッとこらえて足をまた前に動かした。



