やっと愛子さんの言葉を理解して、たちまち気恥ずかしさを感じて耳が熱を帯び始めたとき。
その熱い耳に焦がれていた声が届いた。
「その恋バナ、俺も混ぜてよ」
ずっと、耳にも頭にも、そして心にもへばりついて離れてくれなかった声。
逃げたいのに、何故か聞きたくなる、心地よい声。
周りの音が一切聞こえなくなって彼の声だけが響いて、つられるようにゆっくりと振り返った。
「レイちゃん、お疲れ様」
そう言って柔らかく微笑んだ彼は、光沢の黒のスーツを綺麗に着こなして静かに佇んでいた。
…久しぶりに日の光に浴びている彼を見た。
アッシュブラウンの髪はキラキラと輝いていて、いつもよりも明るく見える。



