そう気持ちを切り替えたのに、今度は低い淡白な声が聞こえてきた。
「愛子、うるさい。あっちまで聞こえてる。」
「雅人さんっ!!」
さっきよりもトーンが高くなった可憐な声を弾ませて、跳ねるように駆け寄った愛子さん。
愛子さんが飛びついたのは、久しぶりにお見かけする雅人さんだった。
いつの間に来たんだろう。全然気づかなかった。
「雅人さん、今日は早かったのね!会いたかった!」
「ああ。」
さっきの男勝りな雰囲気はどこへやら。
ストレートに雅人さんの胸に擦り寄る彼女はすっかり女性の顔をしていた。
雅人さんもそんな愛子さんを自然に抱きとめて、穏やかな視線を向けている。
そんな甘い雰囲気に暫く固まってしまったけれど、慌てて立ち上がった。



