そんな焦燥感に駆られた日々も、やっと明日で終わる。
運良く小さなナイフで、しかも貧弱な女性の力だったため、比較的浅かった傷の治りは早くて抜糸も終わった。
「(……明日までに頑張らなくちゃ。)」
そう意気込んだ、日差しが照りつける昼下がり。
「あの、軍手ってありますか?」
「え!ぇえええ、あ、ははい!」
「…貸していただけますか?」
「すすす、すすぐに持ってきやすっっ!」
ロバートさんに届けてもらった、初心者でも育てやすいポーチュラカの鉢を持って、廊下を丁度歩いていた強面の若い男性に声を掛けた。
屋敷には千田さんみたいな強面の男性が何人も住んでいることが最近分かった。
最初は千田さんに嫌われているのかもと思っていたけれど、
どんな人に挨拶をしても皆んな千田さんのような反応をするから、ここにいる方達はこういう人達なんだと、そう思うことにした。



