「あの、ルカさん…」
「お願い、ちょっと待って?」
戸惑っているような可愛い声が俺の腕の中で籠る。
俺の気持ちなんて全然知らないで、本当に困る。
微かに睫毛を震わせながら、いじらしく必死に俺に言葉を伝えようとする、
そんな感情的な彼女を初めて見て、激流のように溢れ出しそうな想いをなんとか堪えられた自分を褒めたいくらいだ。
俺のために、苦慮しているような憂わしげな表情をしてくれて。
本当はそんな顔をさせてしまって謝らなきゃいけないのに、
俺がこんな顔をさせたって思うと優越感と悦びに満たされて狂気的な感情が芽生える。



