「組長と姐さんが以前世話になったそうですが…?」
ここに訪れるきっかけとなったことを思い出し、ロバートさんに話を振った。
「そうそう、あの時もまた、吃驚しましたなぁ。まさかこの街を治める天下の樋口組の旦那様とマダムがいらっしゃるなんて」
あの時を思い出すかのようにロバートさんは、顎鬚に手を添えながらしみじみとしていた。
「なんでこんな所にお二人は来たんすかね?」
正常に戻った千田は俺の背後に静かに立っていたが、なかなか見つけづらい店の立地に、先程も疑問に思っていたことを純粋に口に出していた。
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