一歩間違えれば本当に危険だったのに、
千田にお願いしたり、傷を悪化させるような無茶な行動をとったり、そうやって自分を大切にしないでふわふわと色んなところをふらついて。
男の情欲を掻き立てるような、そんな格好で平気でふらつこうとして。
突拍子も無い彼女の未知の世界に1ミリも入る隙がない焦りと、怖いくらいな彼女の魅力に不安になってつい感情的になってしまった。
自分で勝手に苛ついて、嘆いて、彼女はなにひとつ悪くないのに。
謝らせてしまった彼女の戸惑ったヘーゼル色の瞳を見て、どす黒く染まった自分が一気にクリアになって我に返った。
「…レイちゃんは悪くないよ。本当、ごめんね」
感情に溺れた無様な姿を散々晒しといて、今更そんな言葉紡いだって遅いのに。
今はこんな貧弱な謝罪しかできなかった。



