大事に、大切にしなきゃと思う理性と、膨張し続けて今にも破裂しそうな愛欲。
こんなにも悶えて、苦悩してるっていうのに。
そんな俺のことなんて全然興味がないかのように、彼女はゆらゆらと蝶のように俺の手をすり抜けて、すぐに何処かにいってしまう。
また、もぬけの殻になった部屋を見て、もう焦りを通り越して誰に対してなのかふつふつと苛立ちが沸いた。
なんとか冷静になって彼女のことを探し回っていれば、明らかに様子のおかしい千田が目に入った。
「ねぇ、千田。レイちゃん知らないよね?」
「へっ?!え、いや、そ、その〜、」
「知らないよね?」
「すすすすみません…!!どうしても風呂入りたいって言うんで案内を…」
その言葉にどんどん頭が冷えていくのが分かった。
無言で踵を返すと、風呂場に向かう。



