そう言って漸く解放してくれたルカさんは、辛そうに顔を歪めた。
頭と呼吸を落ち着かせるように静かに肩を上下させて、そんな彼を戸惑いながら見つめる。
「さっきも、部屋に戻ったらレイちゃんはいなくて。必死で探したのに雅人と一緒にいて。今も、平気で風呂に入ってる。…レイちゃんは、いつも俺の手の中を簡単にすり抜けてどこかに消えていっちゃうね」
もう怒っているような、冷たい雰囲気はなくて。
切なそうに苦しそうに吐き出すルカさんに胸が締めつけられる。
「風呂だって傷に良くないって分かってるよね?何でもっと自分を大切にしてくれないの?」
咎めるように問いかけてきたルカさんは、怪我をしている私よりもずっと痛そうで。
私のせいで苦しめているんだと自己嫌悪に陥った。



